このページでは、作品制作や講座の日々の中で感じたこと、
伝えておきたい小さな気づきなどを、日記のように綴っていきます。
何かひとつでも、誰かの心にふれるものがあれば嬉しいです。
「絵を仕事にする」ということについて、少しだけ現実の話をします。
2026.01.08
アート講座にはときどき、
「絵を仕事にしたい」
「絵で生計を立てていきたい」
──そういう想いを持って来られる方がいます。
その気持ちはとてもよくわかりますし、
私自身もずっと、絵を描きながら歩んできました。
でもここで一度、「絵を仕事にする」ということの現実について
少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
まず、ほとんどの絵描きが「描いた絵を売るだけ」で
生活しているわけではありません。
実際には──
・イラストやデザインの仕事をしたり
・講師業や、受注制作を行ったり
・並行して自分の作品も販売したり
そうやって“いくつかの柱”を組み合わせながら、
地道に生計を立てているのが現実です。
仮に「絵だけで」と考えるなら、
それは相当なレベルの売れっ子でないと難しいのが現実です。
メンタル的にも非常に負荷がかかる道でもあります。
あるとき、講座に来られた方がこうおっしゃっていました。
「ポストカードでも販売して、仕事にできれば…」と。
たとえば、1枚200円のポストカードを月の生活費にするには、
何枚売ればいいでしょう?
・月20万円稼ぎたければ、1,000枚。
・月5万円でも、250枚。
印刷コストや発送の手間を差し引いたら、
もっと売らないといけない。
それでは、オーダー作品を販売するならどうでしょうか?
単価2万円の絵を、月に何枚描けばよいか?
そもそも、そんなに安定して依頼が来るのか?
──これが、「絵を仕事にする」現実のひとつです。
夢がない話のように聞こえたかもしれません。
でも、これは夢を叶えるための“土台”として知っておいてほしい現実です。
「絵を仕事にしたい」
そう思ったら、まずは
“どんな働き方が自分に合うか”を見つけることから始めてください。
・講師になりたい?
・商品をつくりたい?
・個展で販売したい?
・ネットで受注を受けたい?
その上で、必要なスキルや時間・継続力を逆算していくことが、
絵の道を“仕事”に変えていく第一歩になります。
「夢を現実にする」って、
とても静かな、地味な作業です。
でもその道のりを
一歩ずつ歩いていく先に「プロの絵描き」があるんです。
ノウハウの時代に、あえて「絵の力」の話をします
2026.01.05
今は、絵を学ぶための「ノウハウ」がとても充実しています。
SNSの使い方、集客方法、パッケージングのコツ──
“どう売るか”に関する情報は、昔に比べて驚くほど増えました。
たしかに、それは大切なことです。
絵の道を目指すなら、「描くだけ」では届かない時代。
私自身も、絵を仕事にする中で営業や集客を学び、
軌道に乗せてきた経験があります。
でも最近、少しだけ違和感を感じることがあります。
ノウハウの話になると、
「売れないのは絵のせいじゃない、売り方が悪いから」
という言葉をよく見かけます。
でも、本当にそうでしょうか?
私はイラストレーターとして駆け出しだった頃、
ネットもなく、営業もすべて実地で学ぶしかありませんでした。
出版社にポートフォリオを持ち込んでは断られ、
それでも仕事のチャンスをいただくたびに
自分の絵の“未熟さ”に、何度も向き合わされました。
現場で突きつけられるのは、
営業よりもなによりも──
「絵に力があるかどうか」。
もちろん今は、キャラクター性や発信力で評価される時代です。
“自分自身を売る”ことが求められる面もあります。
でもそれもまた、一つの“才能”です。
ノウハウを学べば誰でもキャラで売れる──
そんなに単純な話でもないと思うのです。
だから私は、こう思っています。
ノウハウ8:絵の力2、ではなくて
絵の力6:営業力4
──むしろ、絵の力が7でも8でもいいくらい。
だからこそ、
絵描きを目指す人には伝えたいのです。
“どう売るか”も大切にしながら、
「絵の力」を磨く努力を、どうか忘れないでほしい。
派手ではなくても、キャラが強くなくても、
しっかりとした絵の魅力がある人は、
きっとちゃんと届く時が来るから。
“ほめて伸ばす”だけでは伝わらないこともある
2026.01.03
絵を教えるとき、
「悪いところには触れず、いいところだけを伝えて伸ばす」──
そんな教え方もあります。
それはそれで、やさしさのある素晴らしいやり方です。
けれど、基礎力のような土台は、
時間をかけてじっくり育てるもの。
どれだけ絵が魅力的でも、
その土台が不安定なら、どこか説得力に欠けてしまうこともあります。
特に、デッサンの崩れは、
最初のうちは自分では気づけないことが多い。
誰かに指摘されて初めて「ズレていた」とわかる。
かつて人に指摘されて初めて気づいたことがありました。
心のどこかでは、
「なんとなく違和感がある」と思っていたのに、
自分では確信が持てず、そのままにしていたのです。
できていないところを“きちんと伝える”ことも、
ときには大切なやさしさ。
私はそう思っています。